京都産酒造好適米「祝(いわい)」は、搗精しやすく、低蛋白質で酒造適性が非常に高い、吟醸酒向きの良質品種です。
昭和8年京都府立農業試験場丹後分場で「野条穂」 の純系分離によって生まれた「祝」は、昭和8年~21年にかけて奨励品種となり、昭和11年には600ヘクタール以上栽培されていましたが、戦後は食糧増産のため、収量が少ない「祝」は一時作られなくなったのです。
昭和30年から再び栽培されるようになった「祝」は、良質酒米として伏見の酒造で最も多く使用され、丹波・丹後で多い時には400ヘクタールほど栽培されていましたが、稲の背が高く倒れやすいこと、収量が少ないことなどが原因で昭和49年以降、姿を消してしまいます。
「祝」が再び姿を現したのは昭和63年、伏見酒造組合の働きかけによって、府立農業総合研究所などで栽培法を改良、試験栽培が始まりました。その後、平成2年には農家での栽培が始まり、平成4年には約20年ぶりに伏見で「祝」の酒が製品化されました。
現在、「祝」は丹波・丹後で栽培され、淡麗な味と独特の芳香を特徴とする「祝」の酒は、伏見を中心に京都の蔵元でつくられています。